2012年1月26日木曜日

バリへの移住 Yさんからのお話し

こんにちは。
7月以来すっかりブランクになっていましたが、バリからふたたび発信します。

バリから、どんなことを配信したらいいのかずっと情報集めもしていましたが、やはり実際の体験談が一番だと思いました。

物価が比較的安く気候的にも暮らしやすいバリですが、実際暮らすとどうなのか。

これからしばらくの間、福島第一の放射能汚染が理由でバリへ移住されて来た人たちのインタビューを掲載していきます。どのような経緯で決心したのか、手続き、家探し、費用のことなど。これから移住を考えている方に参考にりそうなことを中心に語っていただきます。



初回のきょうは、UBUDエリアに在住されているYさんです。




Yさんは、昨年7月からバリへ移住してきました。


震災当時は港区赤坂から埼玉県所沢市に転居して間もないマンションに買ったばかりの家財が。でも、福島第一原発の事故を見て、3月16日には一旦福岡へ避難。その後2ヶ月あまりをかけて家財を処分し、住民票等も抜いて一切をバリへ移しました。


5歳になる息子さんJ君の将来を考えてのことでした。TwitterやFacebookで得た情報から、このまま日本で長く暮らせないと判断。


「日本で今起きていることは戦時中と同じだと思う。戦争末期には日本が負けている事を隠し士気奮い立たせるような扇動をして結局はその要人たちは逃げ隠れて戦争が終わりました。私はチェルノブイリの子供たちが病におかさている動画、それと東電のもと社員が真実を語った動画(それは本当にそうなんだと信じられるものでした)が決め手になって移住を判断しました」


「子供がいたら親の立場と気持ちとして当然の行動だと思います。今の日本の状況は混沌としていて、原発の事を少しでも話せば変な空気になったり、Twitterをやっているというと何か宗教にでも属しているんじゃない?みたいな反応をされたり。子供の事以外でももしあのまま日本に居続けたらどうだっただろう、と思う事もあります」



「同じ幼稚園から同じ頃4人位の人たちが移転していきましたが、他の人は皆国内で、ご主人の会社の移動だとかそういった理由でした。でも、そういう風にしか言えなかったのかもしれない。私は 他の人への刺激になれば、という気持ちがあったのではっきり放射能汚染の心配から移住することを園にも伝えてきました」


幼稚園では親身になって話を聞いてくれたものの、本当のところYさんの行動をシリアスに受け止めているかどうかは分からない。


「周りにはこの事を話せる知り合いもあまりいなかったし、実家の家族も主人もあまり認識がなかったので殆ど孤立していました。家族とは日頃もあまりシビアな事を話し合わないできた経緯から今回も相談しませんでした。弟にちょっと話してみたら、やっぱり、なんで移住するの? みたいな感じでした。でも、私はアメリカに5年位いた事があったし、何かがあれば自分一人で何とかしなければならない覚悟もできていたかもしれません」


「その事で言えば、原発の近くで今も暮らしている方々がどんなに危険だと分かっていても同じように外国へ移住できるかどうか。ずっと暮らしてきた親族との土地から一人で出て行けるかどうかを考えると、それは本当に難しい事なのかもしれない、と思うんです」


バリには5、6年前に初めて来て気に入ったことからイギリス人のご主人がUBUD近辺にヴィラを購入し、その後はしばしば来ていたそうです。自営業のご主人は現在東京から上海へ移転されています。購入したヴィラは母子だけには広すぎてもったいない、ということで人に貸して同じUBUDエリアにシンプルな戸建てを賃貸しています。


「 バリの人たちを見ていると、彼らもきっともし同じような事(原発事故のような危機)が起きてもきっとそこから動かないんじゃないかな、と思います。コミュニティの中で代々暮らしてきた人たちには、自分たちの土地以外で一から暮らし始めるという発想は遠すぎるかもしれません」


「東京にいた時は隣の住人の顔も知らないのが当たり前だったし、一人暮らしの時はその方が気楽だったけれど、子供ができたらそれは違う。ここにいると常に取り囲まれている安心感があります」






Yさんは、もうここから別の場所へ動く事は考えていないと言います。



「でも、時々バリで今こうしていていいのかぁ、と思うこともあります。つまり、どこか後ろめたいというか。でも子供の未来の事を考えればこれしかないとやっぱり思う」


家賃は年払いで900万ルピア。現在のレートは1円=119インドネシア・ルピアなので、月額で約63000円ほど。エアコンと家具付きです。


J君はインターナショナル系の幼稚園通っています。住まいからは車で送り迎え。


運転手、家事スタッフ、夜警の三人のスタッフを雇って月々の出費は家賃のほかに10万円ほど。割合の中で多くを占めるのは人件費とレンタカー代。それと、インター系の学校は日本の私立と同じ位の学費(月約2~3万円)がかかかります。食費は輸入品は日本並みかそれ以上の価格ですが、インドネシア国内のものはかなり安価です。ちなみにYさんたちの生活費はご主人が仕送りしてくれているそうです。


日本で切り詰めればさほど変わらない印象もありますが、子供を安心して育てる事に大きなお金はかかるわけではないのです。




滞在ビザは、UBUDにある代理店で手続きを代行してもらっているそうです。インドネシアの場合観光ビザは2ヶ月以内と短いので、Yさんは6ヶ月間有効のソーシャルビザ。

更新できるマキシマムが6ヶ月なので6ヶ月に一度はインドネシア国外へ出なければならないのがネックですが、この方法での滞在者はバリには比較的多いと思います。

1回の手続きに一人15000円ほど。


「ほかに5000円(二人分)がスポンサー代行料とアプリケーションレターにかかります。6ヶ月まで延長できますが、初めの2ヶ月目で更新、後は1ヶ月ごとに更新の手続きをします。その度に、費用が多分二人で5000円位だったと思います」


Yさんのように元々バリが好きで何度も来ていた日本人たちが、昨年から少しずつこちらに移り住んで来始めています。その人たちは原発事故がある前から、一人暮らしの経験や海外生活に慣れた人ばかりではないような気もしますが、でも、私たちはバリで暮らしている日本人として一人でも多くの方が決心をしてくださるようにと願っている事は本音の本音です。


UBUDでは原発と放射能汚染の話しはほぼ当たり前に皆で話せるし、思っている事を角度を変えて話さなくすむ。むしろ、日本の事を本当に心配しながら何ができるかを一生懸命考えている人が多いと思います。



興味のある方、ぜひ短期間でも(できれば少しでも長く)こちらで生活してみませんか?



こちらのブログでは、他の移住者の方を順次ご紹介していく予定です。
Yさん、きょうはご協力ありがとうございました。