2013年4月27日土曜日

移住・疎開のきっかけづくりを考える


今回は、ツイッター上でバリへの疎開・保養を積極的に支援されている
romo -バリ島疎開応援団- #脱日本 @setrisnoさんにお話しを伺いました。

romoさんのプロフィールは、ご本人のブログによれば

「196x年式の日本人です。
浜松市生まれ、世田谷区および北茨城市育ち。
1993年ごろは西Jawa州Bandung市にいました。
2011年に東京の品川区からバリ島へ引っ越しました。

タイトルのLautanはIndonesia語で「大海原」って意味です。
ハンドルのromoはJawa語で「おもうさま=お父上」って意味です。」

会社員>会社代表>会社員>会社役員>現在はバリにて自営業。

ツイッターでは、おもに疎開・保養を考えている方へ向けて、インドネシアの一般情報から見えない世界の話まで(!)、多岐にわたる情報を発信中。

フォローされている方も多いかも?

お名前は伊東直(いとうなおし)さん、52歳。奥様はインドネシア人のイダ・ハリヤニさん。



で、romoさんって、どんな方なのでしょう?

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その1 疎開支援サイト


romoさんは、今野信之さんとともにこちらのサイトを運営されています。

バリ島疎開応援団 Escape to BALI ~放射能の心配のない南半球のバリ島へ疎開・保養に来ませんか~」http://www.bali-trip.com/guest_house.html

以前この「バリ日記」に登場していただいた今野信之さんとromoさんは、
お住まいが同じエリア、お子さんの学校が一緒、ということで昨年知り合われたそうです。

(今野さん掲載記事→ http://diarybali.blogspot.jp/2012_08_01_archive.html

写真は右がromoさんこと伊東さん、左が今野さん。


romoさんによれば、
「今野さんと出会ったことで、いろんなことが一変。私はそれまで原発事故の影響などあまり関心を持っていなかったんですが、……今野さんのお話を聞いて、これは是非一緒にやろうと思いました」、と。

サイトのTOPページにはこんな風に書かれています。




「かつて日系企業の保養所として使われていた建物を、オーナーであり日系二世の小野寺バスキ氏のご好意により 『バリ島疎開応援団』のゲスト&ケアハウスとして優先的に使用させて頂けるようになりました。

小野寺氏のお父様はインドネシアに残って独立戦争を戦った元日本軍人で、バスキ氏ご本人もお父様お母様と一緒にゲリラ戦の中、過酷な山の中で幼少時を過ごした経験をお持ちの方です。父上は現在、インドネシアを独立に導いた一人としてジャカルタ英雄墓地に眠っておられます。

今回、日本の現状含め、子供疎開移住支援の話を小野寺氏にさせて頂き、インドネシアを助けた日本人であるお父上同様、今度はインドネシア人として日本の未来である子供達を助けたいという想い、手助けになるのであれば是非協力したいとおっしゃって頂き実現しました。
場所は海まで 3.5km のヌサドゥアの丘の上 (海抜60m)、 静かな住宅地の中にあります。施設の真ん中にはプールがあり、プールを取り囲むように五つの部屋があります。各部屋からプールで遊んでいる子供達が見えます。談話室や海が見渡せるガゼボ、共有のキッチン、ダイニングもあります。

設備はすこし古いですが、どの部屋もインドネシア風のトイレではなくて、洋式トイレで、バスタブ付きの部屋もあり、お湯も出るので、インドネシア滞在が初めての日本人の方にも違和感なく使って頂けると思います。

私たちはここが、保養の方には安価な宿として、疎開・移住の方にはこちらでの生活を始めるにあたっての足がかりの場になってほしい考えております。

同じ問題を抱えて日本を脱出した方同士が、情報を共有しあい、協力し合って新しい生活を構築していくための足がかりの場になってほしい考えております。

私たちもできる範囲でお手伝いします。ここに滞在される方も、後からこられた方を手助けする、助け合いの連鎖が生まれることを願っています。私たちはバリ島の南部地区(空港より南、バドゥン半島 (ジンバラン・ヌサドゥア方面) に住む日本人で、バリ島に避難される方々をサポートしたいと思ってる者の集まりです。

ツイッターでひたすら疎開を呼びかけてきた nobuさん (@nobutomorino)を中心に、私たちができる範囲のお手伝いをさせて頂きます。

なにぶん素人の集まりですし、バリ島の在住暦が長いわけでもありません。でも、みんな”なにかせずにはいられない”と感じています。

地理的、時間的な問題から、私たちがお手伝いできるのは 「NusaDua ゲスト&ケアハウス」 または、その付近の宿にご滞在なさる方に限らせていただきます。」



「なにかにかせずにはいられない」という気持ち。

お節介になるかもしれないけれど、“今やるべき最優先の事”は、日本の、福島の子供たちを少しでも早く、少しでも長く海外に、という事のきっかけづくりではないかと。

これが私たち海外居住日本人の本音だと思います。


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その2 ケアハウスの運営



今野さんにお目にかかった半年前、こんなコメントがありました。

「バリへの第一歩で自分が『こんなものがあったらいいなぁ』と実感したものが、ケアハウス。海外自体がはじめての人や、移住先での不安を抱える方々が共同生活または短期宿泊できるホームステイ形式のケアハウスの計画もしています」

計画がすすんで、ケアハウス、ついに出来たのです。

先日、柚木ミサトさんとご一緒に見せていただきました。


お伺いしたのが夜だったので、ケアハウスの写真はすべてサイトから引用させていただいています。

敷地は、いわゆるリゾートホテルと比較すれば、限られたスペースを最大限生かした中庭式。中央のプールを囲むようにして5つの客室が。

部屋のスペースは1~2ヶ月の滞在には十分なゆとりがあると思います。共用のキッチンとダイニングがあるので自炊もできます。

もともと日本企業の保養所としてつくられたそうで、一角に共同の広々したリビングスペース、屋上にも景色を眺めながら談話室のように使えそうなバレがあります。


十数年前の建築とのことですが日本人にとってのファシリティは十分だし、滞在がほかのファミリーと重なれば情報交換はじめ日本ではなかなか人に言いにくかったこともお互いに相談しあえるかもしれません。

“自分だけが周りの中で意見が異なる”、と窮屈な思いで国内居住されている方にとって、同じ思いの人が集まれる場所での滞在は、具体的に移住することを決めるか否かだけではなくいろいろなヒントをもらえそうです。




サイトのTOPの文章にある「助け合いの連鎖」という言葉、大事なことだと思います。

今私たち日本人は、自分の直感的な思いや考えを引き出しにしまわないで、考えが近い同士が知り合って、どんどん意見交換したらいい、と。

話すだけで連帯感、安心感につながるかもしれない。

今まであまりにも多数決の世の中でしたからね、もう少し外側からものを見て、未来について考えてもいいのではないかと思います。

バリへ一旦出てみて、同じ考えの人同士でつながり、現地の人と知り合う事で、いろいろな気持ちの整理もできるのでは。

ケアハウスは各室間取りが違うので、詳しくはサイトを見てみてくださいね。


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その3 移住よりまず疎開を考えること


romoさんに伺うと、こんなご意見でした。

「最初に整理した方がいいのは、いきなり移住ということに立ち向かわないということ。これは相当にハードルが高いです」

移住と思うと、日本の住まいも仕事もすべてにピリオドを打って、ということになるので考えるだけでも大変そう。そこまでをいきなり考えるのではなく、観光ビザでまずは下見のつもりでバリへ来て見ませんか? という呼びかけをされているのがromoさんたち。

「1番目は、観光ビザ(バリ到着時に空港で取れるアライバルビザ)で最大60日まで滞在できることを利用する短期保養という考え方」

「2番目は、疎開

「3番目が移住です」

これ、しっかり覚えたいです。国内に住み続けることと海外に移転することの間に、方法があるということ。


「1番目を繰り返してもいいし。しかし、1番目が一番お金もかかります」

60日を越える場合はインドネシア国外へ一度家族全員が出る必要があります。一般的な例では、シンガポールへ日帰りで行くというもの。シンガポールから出国し、またインドネシアに入国することでまたアライバルビザを取得するという方法です。

「2番目の疎開ですが、この場合は家族全員ではなくて、たとえばお父さんが日本で仕事を続け、お母さんと子供たちだけが海外へ長期滞在」

日本からお父さんがお金を送ることで、現地ではお母さんは生活のために仕事をする必要がないので、ソーシャルビザ。最大6ヶ月滞在可能で、6ヶ月ごとにシンガポールなどインドネシア国外へ出る必要があります。

「3番目の移住は、就労ビザ(など)」

3番目の就労ビザは実はあまり簡単ではありません。インドネシアで仕事をして報酬を得られる外国人は、各企業で2~3人しか雇えない法律があるためです。それだけ特殊技能や経験を問われるわけです。

「仕事を現地採用というと、観光業かつ専門職が多い。日本で一般のサラリーマンの人にはなかなか難しいかと。たとえばシェフとか、ホテルサービス経験者なら就職先はある」

でもそれはかなり間口の狭い話しとなります。

「それ以外は、自分の得意分野での起業という方法でしょう。今、インドネシアは好景気。日本の高度成長期のような風が吹いています。(まだインドネシアにないものをつくれば)ビジネスチャンスでもある」

これまでバリへ移住されてきた方の何人かはすでに起業(外国人起業登録)されています。うち(アトリエマニス)も、10年来の現地法人から今年外国人企業に切り替えたことで日本人の方の採用が出来るようになりました。

「とにかく最大の目的は子供を少しでも長い時間こちらに来させられるように、ということです」

皆さん、一度視察を兼ねて、バカンスのつもりでバリへ来てみませんか?


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romoさんは、バリに限らずインドネシアについて広い知識を持っている方。

1990年から1995年まで西ジャワでの仕事があり、日本とジャワ島を行ったり来たりする生活をされていて、その後日本でサラリーマン生活。2002年にジャワ人の奥さんと結婚。

しかし、老後のことを考えると国民年金の度重なる変更(支払開始年齢)に、このまま日本で暮らしていく意味を考え直すことに。

2009年、奥さんの希望でバリのヌサドゥア(奥さんが最初にお勤めだったホテルがヌサドゥアだったとのことで)に土地を購入。

2010年には移住を決意して、調査を開始。2011年の3月はじめにはまず奥さんがバリへ渡り、家を建てる準備に取り掛かったそう。震災のわずか1週間ほど前のことです。

震災当日は、東京で暮らしていたromoさんと息子さん。小学生の息子さんは、「おじいちゃんが家にいるから」っと帰宅したのですが、電車が動かないのでおじいちゃんは家に来れず。鍵も持っていないので自宅の前で途方にくれていたそうです。幸い近所の方が息子さんを預かってくれたのですが、電話も通じない中、romoさんが横浜にある会社から家に戻れたのは深夜だったそうです。

翌日の12日、今度は、奥さんのお母様(インドネシアの)が亡くなったという知らせが。

すぐに航空券を手配して出国をしたのは17日。

図らずも震災、放射能避難とはまったく違う理由でしたが、インドネシアへ移住することと震災直後にインドネシアへ急に渡ることが重なったのでした。

こんな偶然も起きるのですね。導かれている、というか。

しかし、きっかけがどうであれ、romoさんたちが今誰よりもいっしょうけんめいに「疎開・保養」についてどんなことができるか、どういうお手伝いが一番ふさわしいか、考えている。

romoさんと今野さんが二人とも、震災後に移住されているという、立場的に当事者でもあることも心強いことだと思います。(私たちのような元からの移住者だと考え至らない部分もあると思うので。)

「バリが好きで来た、というのともまた違ったのだけど。今はいろいろな面で来てよかったと本当に思いますよ。子供の学校はインターナショナル、半年もたたないうちに友達作って外国語でしゃべってた。インドネシア語より英語の方が先に上達していますよ」

「子供にとっては、規制のない自然の中で自由に遊ぶことが出来るわけで、日本にはないすばらしさがあると思いますよ」

「サイトは立ち上がりからかれこれ5ヶ月。現在、サイトからのお問い合わせは週1、2件くらいです。でも、不思議なくらい福島の方からのお問い合わせって皆無なんです」

「多くは震災後関東から関西方面へ移転したけれど今度は大阪ががれき焼却を始めたことをきっかけに、海外へ目を向けている、という方々」

「活動を初めてから、私たちのところを最初の拠点にして(当初は自宅を利用)移住された方も一組います」


「長期滞在、疎開をするのであれば言葉の面を含め、やはり私たちの協力は最初の足がかり、ゆくゆくは自立していくことを目標にして欲しい。私たちはお金をいただいてしている協力ではない。でも、お金をいただいて出来ることでもないです」(バリにはお仕事で疎開・移住のお世話をしている会社もあります。)

「今、原発のことでボロが出てきちゃってる。年金問題と同じで、世の中の根っこにあったもの。本当にうそつきだったんだなぁ、って」

「これからもっと日本から長期滞在~移住につながるような具体的なプランを立てられたらいいな、と思っています」

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いかがでしたか?

romoさんへの質問、お問い合わせは冒頭のサイト内から直接できます。サイトの左袖にビザ情報などの一般情報も出ていますので、是非活用してください。

では、また次回!






 

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