2012年4月18日水曜日

藤川修さんの「放射能学習講座」から

2月にインタビューさせていただいた藤川修さんが4月2日、UBUDにあるsisiさんで講座を開かれました。

原発問題をテーマにすることについてインドネシアでは規制があるため、在住者に向けて現在の日本放射能汚染の状況と、気をつけたい点を中心に質疑応答が展開されました。

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まずは福島第一原子力発電所事故のおさらいです。

以下は皆さんもご存知の事が多いかと思いますので、お話しを簡単にまとめました。


●全世界には441基の原発があり、そのうち約8分の1が日本にあります。定期点検によりあと1基を残すのみでほぼ全てが停止していますが、電力は足りていますね?  原発がなくても日本の電気は足りるのです。
●新聞やTVが信用できないのはなぜですか?  構造上政府の上にメディアが、その上に原子力産業があるからです。 インターネットも殆どは信用できませんので、自分で勉強して判断して行くしかありません。
●福島には全部で11基ありますが、福一1~4号基はどれもボロボロ。1、2号基はウラン原料です。3号基はプルサーマルで、ウラン原料にプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使っている。プルサーマルは日本で3基しかないのに、これが事故を起こした事はほんとうに残念でした。
●プルトニウムは本当に怖いものなのに、これが環境に出てしまった。
●4号基は使用済と使用されていない核燃料が保管されている。水を循環させる事で冷やしていないと放射性物質がどんどん出てしまう。これが事故を起こしたら日本のみならず世界にとても大きな事態が起きる。
●これまで漏れたのは1トン。一説ではこれまでに数万人の人が亡くなっている。4号基はその200倍の量が保管されているので、恐らく数千万~数億人に影響が出るでしょう。
●使用済みということで安心されている人もいますが、実際は30年間は崩壊熱を出し続けるのです。その他の原発も停止させても30年間は冷却し続けなければならないんです。


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バリで生活をしている方へのアドバイス


1   花粉について

バリにいても花粉が危険だというのはどうしてですか?
 ●春になって日本では花粉が飛んでいますが、花粉には放射性物質がつきやすい。
●福島で計測された花粉は25万ベクレル/kgという数値。世界基準は100ベクレル/kgです。どれだけ高いか分かりますか?  これが一粒でも肺に入ると8年以内に死亡する可能性が高い。
●観光客の多いバリでは、日本からこの花粉がどこかについて一緒に来ている可能性もあるので決して安心できないです。

2   食べ物について

食品の放射能数値は何の核種を調べているのですか?
●放射能核種にはいろいろなものがあり、それら全てを計測することは困難です。
●セシウムはわりと計測しやすいので、それでセシウムのことばかりが言われているんです。
●食品の線量を測るには分解して専用の機械に入れて1週間かかる。ガイガーカウンターでは通常ガンマ線しか測れません。プルトニウムなどのアルファ線は数ミリしか飛ばないため非常に難しい。
●ですから、日本のスーパーなどで数値を表示していてもあまり意味をなさないと思う。もし数値が出たとしたら、それは相当高いという事です。推測するに、スーパーなどは測りやすいものだけを測って表示しているだけではないでしょうか?
●九州で生活している場合、1日辺り平均30ベクレルの摂取。40才以上は10年以上は変化がなくても、毎日食べていれば必ず影響が出る。子供はその数千倍です。


バリ在住者はどんな注意をしたらよいですか?

●とにかく、もし国内に一時的に戻るのであれば九州産、北海道産を選ぶこと。海産物は避ける事。牛乳、肉、大きな魚は生体濃縮が3万倍などとも言われているので絶対に避けたほうがいいでしょう。
●バリにいても日本のダシを使うのはやめましょう。魚とシイタケは一番危ないので、野菜から出る出汁成分を塩で引き出すような代替えがおすすめです。
●北海道のコンブ、韓国産の海苔、中国産もやめた方がいいです。
●バリでは近海の小さな魚、湖で採れる魚は今のところ大丈夫だと思います。
●また、放射能が入ってしまっている食品は煮ても変わりません。洗えば表面ものは落ちますが中に吸収されているものは変わりません。

3  放射能汚染を防ぐには
放射能を防ぐ、または身体に溜めない方法はありますか?
●日本での生活がすでに長い、すでに汚染されていそうな食品を食べてしまっている、などの事は気にしない事です。精神的にネガティブになる事も健康には影響がありますから。
●それよりも、乳酸菌の摂取をおすすめします。米とぎ汁、大豆の煮汁に塩とヤシ砂糖を加えてつくる乳酸菌、味噌など乳酸菌を含む食品をたくさん摂ることです。身体の中にある毒素を少しでも排出できるように心がけてください。


4  頂き物の食品は
日本からの食品は食べても大丈夫ですか?
●バリにいると、知り合いが持って来てくれたお土産など、自分で買わなくても色々もらう事も多いですね?  しかし、日本からの頂き物は全て食べないことをおすすめします。とくに20才以下は十分気をつけていただきたいです。
●日本の人は子供の事を考えれば少なくとも九州へ、できるだけ海外へ移られること。
●なぜこんな事をいうのかと言うと、チェルノブイリの例があるからです。ベラルーシで汚染地域で生まれる赤ちゃんの99%は26年後の現在でも奇形で死産も多い。外見に異常がない場合でも内臓や脳に異常があるケースも多い。ロシアでは事故から8年で人口が激減しました。推定4000万人が死亡したと言われています。
●今、日本の福一で起きている事はチェルノブイリ以上です。チェルノブイリ以上の影響が出るでしょう。
●このようなことから、どんなに微量でも放射能というのは必ず影響出るし、ご自身でよく考えていただきたいんです。

当日はこの他にも色々な質問が出ました。


前回も書きましたが、放射能について詳しい人ほど「放射能は微量だから大丈夫という事は決してない」と断言しています。バリに来ているから全てが安全というわけではないのです。
それでも国内にいるのとバリにいるのとではどれだけ健康への負担が異なることか。藤川さんのお話しを聞く度に、考えさせられます。

<参考資料>

「オール電化 原発」というふたつのキーワードを入れて検索すると、「オール電化の選択は、原発賛成に一票」という福島事故の二年前に書かれた藤川修さんの文章をご覧頂けます。「たぶんトップに表示されます」とのこと。

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 4月15日。

同じくUBUDのsisiさんにて「新しく移住して来た方と前から住んでいる方との情報交換会」が開かれました。

「新しく来た方」は、来てまだ数日~10日という方々、同じ地域から複数の家族で一緒に来られた方もいました。会場には藤川さんほか、このブログに登場してくださった清水義憲さんも。清水さんは、「最近起きている地震や4号基の温度上昇、がれきの問題などは、今もしまだ日本にいたらもう一度移住を決心しただろう」と。

大飯原発再稼動が先送りになり、5月5日には北海道泊原発が定期点検のため停止になり、これで一旦日本の原発の全てが止まります。図らずもこどもの日。子供たちへ意味のあるこどもの日が迎えられますように。

今回お目にかかった新しい皆さんにも今後インタビューをお願いする予定です。
その前に次回はビンタンパリ(インドネシア語で南十字星)という運動を開始された松浦真弓さんにお話しを伺います。松浦さんは放射能避難でバリへ来た方への情報面での支援と、日本の方々へバリから食品を送る活動を計画中とのこと。

次回もどうぞお楽しみに!

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